微分方程式の初歩をダイナミクスとして考え直す(2)
前回に続き,微分方程式を時間変化として考えていきます.
今回は次の微分方程式.
パラメータはのみ.
この微分方程式の解は を任意定数とすると
となります.
ここで,次のように軸を考えます.
縦軸を横軸の時間変化にとったグラフは非線形力学系でも安定性を考える時によく使われるグラフです.
パラメータを3つのパターン(正・負・ゼロ)に分けて描きます.
の場合
の場合
の場合
は
を示します.
なんてこともない,ただの直線ですが,
になる場所
- 直線の傾き(今回の場合パラメータ
)
が重要になります.
なぜかと言うと,
の場合,
は増加していく
の場合,
は変化なし
の場合,
は減少していく
となるからです.
これを模式的にグラフに書き込むと
が負の場合
赤矢印はの変化の方向と大きさを示しています.
初期値がゼロから離れていてもゼロに収束していく様子(安定)が想像できると思います.
が正の場合
初期値がわずかでもゼロから離れたらに発散していく様子(不安定)が想像できると思います.
では常に
となるため,変化はありません.
縦軸を横軸の時間変化にとったグラフを描き,直線の傾きのパラメータによって収束や発散が切り替わる事が確認できました.
改めて解を見てみると
(は初期値と対応)
aが負で初期値がいずれの場合でも,(安定)
aが正で初期値がゼロの場合.
aが正で初期値が非ゼロの場合.(不安定)
であり,微分方程式の解はグラフで確認した振る舞いを再現できている事が分かります.
ちなみに,今回使ったグラフはテイラー展開と組み合わせることで更に複雑な安定性解析へと応用されます.